宇宙の小石

 アイザック・アシモフの処女長編、宇宙の小石を風邪で寝込んでる間に読み終えました。面白かったです。

この本を読んで思ったのは、今まで読んできたアシモフの作品の共通点についてです。
・銀河帝国など、何万年にもわたる銀河の歴史の一片として、それぞれの作品が書かれている。
・人類の歴史や、他の星に住む人類の変った文明などが重要な場合が多い。
・人の心を読んだり、故意に変化させたり、極端な場合にはそれによって人を殺せるなど、心理的な超能力者が出てくる。(能力者がロボットの場合もある)
・原子力が主要なエネルギーで、完全に安全なコントロール技術が確立している。
・銀河の中で、地球は忌み嫌われる酷い星になってる。

 アシモフの銀河史はとてもしっかりしていて、この宇宙の小石で、後に出てくる作品の片鱗がすでにいくつか出てきていたことなどには、驚きました。

 超能力者がよく出てくるのは意外でした。人が考えていることが分かったり、それをコントロールしたり。アシモフにはそのような欲求があったのでしょうか?

 そして、第2次世界大戦を経験している人だけあって、戦争、特に原子力に関する描写が多いのも興味深いです。当時、原子力発電などは最先端の夢のある技術だったのかもしれません。他の惑星に比べ、地球が酷い星になってしまっているのも、当時の核戦争を危惧する風潮、それによる荒廃した未来感などが影響しているのかもしれません。この本に出てくる宇宙の小石(地球)も、放射能に汚染され、道の小石などから普通に放射能が漏れるような世界でした。


 何度も言いますが、アシモフの作品は純粋なSFながら、派手なロボットや恰好良い宇宙戦艦が出てくるわけでも、SFな効果のある難解な物理理論が出てくるわけでもありません。登場人物はそれぞれ癖のある特徴をもっていて、そこには権力やお金に溺れる人がいて、上官や上司、国や社会に翻弄される人々がいて、それでも知恵を巡らし正しい方向へ進もうとします。ロボットでさえも、その存在ゆえに変った癖を持ち、事件をより面白くします。歴史的、ミステリー的な要素がとても大きいです。そういった人間に関する推測、推理はとても難解です。ですがそれも、ミステリー小説のような推理を楽しむ難しさです。ということで、SFに興味がない方でも読んでみると面白いかもしれません。

投稿者 robosheep : October 26, 2005 09:36 PM

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